先日、アーカイブ配信とアーカイブ鑑賞会が行われた 男女共同参画週間の基調講演「かにた婦人の村」の歩み~傷ついた女性とともに生きる天羽道子さん~
参加された方からのご質問について、講師のかにた婦人の村施設長 五十嵐逸美さんよりご回答をいただきました。
ぜひご覧ください。
【掲載期間2026年9月26日~2026年10月25日】

【質問】
入所している女性が、「かにた婦人の村」を"卒業"するタイミングはどのような時が多いですか。
【回答】
心身の健康の回復が概ねできて、次の行き先や居場所が決まったら退所を措置元と本人と「かにた」で協議して退所となります。

【質問】
これをすると退所しなければならない、というルールは設けていますか。
【回答】
今の所は無いです。
入所のしおりには、他の利用者に迷惑なことをしたら、話し合いをするとしています。今まで、利用者の意思ではなく退所になった事例は無かったと記憶しています。

【質問】
入所している女性の生活支援をする際、支援者側も境界線が難しいと思うことはありませんか。どこからどこまで手を差し伸べるか、介入するか、またそれは職員皆統一されているのかなど言える範囲で構いませんのでお聞きしたいです。
【回答】
バウンダリー(境界線)については、人それぞれだと思います。家族に守ってもらった時期がある生活を持てて来なかった人だと、あえて曖昧な時期が必要な人もいます。育ち直しみたいなことですね。人は、そういう時期があって、自然に自分の世界を確立していくのだと思います。統一した対応っていうのは、良いように聞こえて、機械的でつまらないとも言えます。職員が情報を共有しているということの方が大事で、割と境界線を曖昧にしても影響は受けないよという職員がいたら、それはその人の属人的な能力と捉えて、批判せず、ある時期お任せできる職員として、信頼して、支援の情報を即時的に共有できる支援者集団を作れたら良いのでは、と私は考えます。そういう意味もあって、かにたでは、支援記録を読み書きするための端末(スマホ)を職員に配って、記録を素早く共有できるように、支援記録のICT化を2022年11月に実施しました。

【質問】
女性支援に関わりたい思いはあるものの、積極的に動けない理由の一つに、恐怖心があります。思いがけず辛い経験や悲しみに共感して、一緒にどこまでも辛くなってしまうのではないか、と思ってしまいます。寄り添うとき、自分自身の心の在り方、また、大切にしていることなどはありますか。
【回答】
確かに利用者さんが保護され入所してきた事情を知ると、「え?それって本当に今の時代の話なの?」と辛く思いますけど、当事者はそれを頑張って耐えて生き延びて来た人、と捉えると、ただ可哀想と同情するだけの対象ではなくて、リスペクトすべき対象でもあるのです。そう思うと、「可哀想だね、悲しかったね、辛かったね」だけではなく「よく頑張ってきたね、私にはできなかったと思うよ」など、前向きな声掛けもできます。共感する時に「辛かったけど、死なないで頑張った、悲しかったけど、生き続けることができた」そういうポジティブな共感を提示してあげることが、心身の健康回復のために必要だと思っています。支援者は利用者に希望を与える人であるべきです。

【質問】
色々な困難があったかと思われますが、それに対して活動を続ける事に対する力や勇気は、どの様にして保ち続けられたのでしょうか。
【回答】
いつも人に話すんですけど、この仕事は自分の仕事ではなくて「神様の仕事」だと思うと、そんなに自分で背負わされている感じがしなくて、気が楽になるんです。私はクリスチャンじゃありませんが、法人がキリスト教の理念で運営されているので、そういうものだと思うようにしています。大変なことは結構ありましたけど、そのメンタルで何とかなって来ました。そういう意味で神様はいるのかもしれないですね。

【質問】
見学にいつか行きたいと思うのですが、個人でうかがうことは可能ですか?
【回答】
事前に連絡していただければ日程調整させていただきます。1ヶ月くらい前に連絡していただけると助かります。社会福祉法人ベテスダ奉仕女母の家のホームページにあるメールフォームからお問い合わせください。

【質問】
入所するための審査があると何かで情報をみたが、審査に落ちた人はどうしているのか?ほかに居場所はある?大泉学園の見学はできるのか。
【回答】
女性自立支援施設への入所の可否を決めるのは、都道府県にある女性相談支援センターです。当事者が女性自立支援施設に入りたいと女性相談支援センターに相談することが必要です。審査ではなく、アセスメント(聴き取り調査などによる客観的な評価)によって、女性自立支援施設での支援が最適なのかどうか判断することはあります。私は、心身の健康回復の支援が必要であれば、できるだけ女性自立支援施設を活用して欲しいと願っています。そこが解決されないと就労自立で躓いてしまいがちですし、まずは女性自立支援施設でゆっくり休んで、メンタルの治療を受けて、心を元気にしてから、次のステップに進む方が、予後が良いと思うからです。大泉の方で法人が運営しているいずみ寮の見学については、社会福祉法人ベテスダ奉仕女母の家のホームページのメールフォームからお問い合わせください。